コストパフォーマンスか、プレミアム性か?
ヒュンダイ JM VS ランドローバー フリーランダー

今回登場するのはヒュンダイJMとランドローバー・フリーランダー。全長4.4mを切るコンパクトサイズ、モノコックボディ、横置きV6エンジン、4輪独立懸架サスペンション、フルタイム4WDなど共通点が多い2車だが、プライスを見るとJMは240万円、フリーランダーは385万円。両車の間には実に150万円近い差がある。JMのコストパフォーマンスか、フリーランダーのプレミアム性か。あなたならどちらを選ぶ?
エクステリア比較
グッドデザイン賞を受賞
フロントからリアエンドまで、なだらかな曲線で構成されるJMのサイドビュー。ブラックアウトされたCピラー、後端でキックアップするサイドウインドウや短いオーバーハングが軽快感を演出している。そのデザイン性が評価され、JMは2004-05年のグッドデザイン賞を受賞した。樹脂製フェンダーカバーと大径タイヤ&アルミは「Aパッケージ」装着オプションだ。最低地上高は195mmを確保しており、多少の悪路も苦にしない。
ランドローバーのデザインアイデンティティを継承
JMとは対照的に、スクエアなデザイン。よく見ると階段状になっているルーフや、「ロイヤルコーナー」と呼ばれる独特のボンネット形状、そしてリアクォーターウインドウの処理はディスカバリーなど上位モデルのデザインモチーフが随所にちりばめられている。全長はJMより55mm長いがこれは背面タイヤを入れた数字で、実質的にはJMよりも短い。短いオーバーハングによりアプローチアングル/デパーチャーアングルともに30度以上を確保。
インテリア比較
カジュアルで乗用車的
クリーン&シンプルなデザインが特徴のJMのインテリア。SUVというより乗用車的な雰囲気だ。ファブリックのシートはサポート性よりも快適性重視。ライト点灯時、淡いグリーンに光るメーターパネルはヒュンダイ車に共通で、視認性に優れる。ヒュンダイの日本仕様車は右側にウインカーレバー、左側にワイパーと国産車と同様のレバー配置をしている。日本市場に対する意気込みは相当なものだ。
機能的かつ高品質
質感が高いフリーランダーのインテリア。JMの質感も標準以上だが、フリーランダーの前ではそれもかすみがち。150万円の価格差を実感する部分だ。高いアイポイントで開放感の演出と運転のしやすさに寄与する「コマンドポジション」、水平基調のインパネデザイン、そしてアイボリーの本革シートとトリムなど、ランドローバーのアイデンティティが息づく室内空間だ。
リアシートの居住性は必要十分。身長180cmの大柄な男性でも適正な着座姿勢がとれる。リアシートをシングルフォールディングで倒せばフラットで広大な荷室空間が出現する。リアゲートにはガラスハッチが備わり、狭いところでの荷物の出し入れに重宝する。
ホイールベースはJMより75mm短いが、リアシートの居住性は同程度。頭上スペースに余裕があるので狭苦しさは感じない。後席の折りたたみ方式はダブルフォールディングタイプ。バックドアが横開きというのもランドローバーらしい。
試乗比較 軽快なJM、自然なフリーランダー
車重を意識させない軽快さ
JMの乗り味を一言で表すとすれば「軽快」。この一言に尽きる。エンジンの吹け上がり、ハンドリング、足回りと、フリーランダーと10kgしか差がないとは思えない身のこなしが特徴だ。
JMの2.7L V6エンジンはごく低い回転域からもりもりトルクを絞り出す。ただ、出だしのトルクがやや唐突なので最初はアクセルワークにはちょっと気を使う。静粛性は高く、4000回転以上回さない限りエンジンの透過音はほとんど気にならない。
有機的なエンジンフィールは絶品
フリーランダーの身のこなしはあくまでも自然。パワーユニットはローバー75にも搭載された2.5L V6エンジン&5ATだ(フリーランダーに載せるにあたってセッティングは変更されている)。JMより200ccほど排気量が小さいためトルクでは譲るが、そのフィーリングは絶品。デュルルルルというV6サウンドを遠くに響かせながら、滑らかに加速する。アクセルの踏み込みに対してリニアにトルクが出る点もいい。1ミリ単位の微妙なアクセルワークが要求される本格クロカンならではのセッティングだ。
硬めの足はワインディングで実力を発揮
日本に導入されるJMはヨーロッパ仕様と同じ足回りなので、乗り心地は少々硬め。低速では路面の凸凹をよく拾うが、速度が上がるにつれてフラットになる点もヨーロッパ車(とりわけドイツ車)に近い。ワインディングではノーズの重さをほとんど意識させず、ひらりひらりとコーナーを駆け抜ける。フルタイム4WDならではのトラクション能力も手伝って、コーナーでもガンガンアクセルを踏み込めるのだ。オンロードでの実力はトップクラスといっていいだろう。
オフロードは試さなかったが、トルク・オン・デマンド式のフルタイム4WDには前後直結モードが備わり、悪路の走破能力も高い。普段はオンロード主体の使用状況でも、いざというときには心強い。
オフロードでの実力もトップクラス
ワインディングでの印象は、いかにもランドローバーらしいもの。長いサスペンションストロークを活かした粘り腰で、弱めのアンダーステアを伴いながらコーナーをクリアするさまは他のランドローバー、とりわけディスカバリーを思わせる。4輪独立懸架・エンジン横置き・モノコックボディを持つフリーランダーだけに、よりスポーティなセッティングも出来たはずだが、開発陣はランドローバーらしさにこだわったのだろう。
オフロード性能においても妥協はない。ビスカス・カップリンクのセンターデフを持つフルタイム4WDを採用し、悪路でのダウンヒルで効果を発揮するHDC(ヒル・ディセント・コントロール)やETC(トラクションコントロール)など、お得意の電子制御技術で走破性を向上させている。
試乗を終えて−まとめ−
試乗の前にカタログや雑誌の記事などを読んでみたが、JMとフリーランダーのスペックにはあまりに同じような数字ばかり並び、正直言って試乗前はどう書くべきか思案に暮れていた。だが、乗ってみると両車は予想以上に違うクルマだった。あらためて試乗の大切さを実感した次第だ。
まずJM。V6エンジン、凝った4WDシステム、十分な質感の内外装、ガラスハッチやシートアレンジに代表される使い勝手のよさ。これだけの物をそろえながら240万円を切るプライスを実現したコストパフォーマンスは驚異的と言える。
では軍配はJMに上げるか、というとそう簡単にも決められない。フリーランダーには150万円という価格差を補う魅力があるのも確かなのだ。スタイリッシュなエクステリア、英国のクラフツマンシップ宿るインテリア、レンジローバー譲りの電子デバイス、ランドローバーというブランド・ステータス、そしてなによりもドライバーの意思に素直に反応してくれる運転感覚。これでCセグメントセダンと同等の価格帯だと考えると、フリーランダーの価格はむしろお手頃とさえいえる。
これだけの価格差がある両車だから、実際に比較する人はそう多くはないだろうが、JMとフリーランダーどちらを選んでも、価格以上の魅力を備えたクルマであることは確か。とにかくクルマには、乗ってみて初めて分かることがたくさんある。それがクルマ選びの難しさであり、醍醐味でもある。ホワイトハウスグループの正規ディーラーでは定期的に試乗イベントを開催しているので、気になるクルマがあったら問い合わせてみてはどうだろう。
(text/Kitajima, DAYS)
| 全長x全幅x全高 | 4325 x 1830 x 1730mm |
|---|---|
| ホイールベース | 2630mm |
| 車両重量 | 1590kg |
| トランスミッション | 4速AT |
| エンジン種類・総排気量 | V型6気筒DOHC・2656cc |
| 最高出力 | 175ps/6000rpm |
| 最大トルク | 24.6kg-m/4000rpm |
| 燃料タンク容量 | 65L |
| 燃料消費率(10・15モード) | 9.6km/L |
| 最小回転半径 | 5.4m |
| 車両本体価格(消費税込み) | 238万3500円 |
お問い合わせ:ヒュンダイ名古屋
| 全長x全幅x全高 | 4380 x 1810 x 1770mm |
|---|---|
| ホイールベース | 2555mm |
| 車両重量 | 1600kg |
| トランスミッション | 5速AT |
| エンジン種類・総排気量 | V型6気筒DOHC・2497cc |
| 最高出力 | 177ps/6250rpm |
| 最大トルク | 24.5kg-m/4000rpm |
| 燃料タンク容量 | 65L |
| 燃料消費率(10・15モード) | 7.9km/L |
| 最小回転半径 | 5.9m |
| 車両本体価格(消費税込み) | 385万円 |
お問い合わせ:ランドローバー名古屋

