New!Car試乗記

最新モデルや話題のモデルの試乗レビュー

BMW セダンクーペ
2022.10.21

Vol.16 【BMW i4 eDrive40 Mスポーツ】

Vol.16 【BMW i4 eDrive40 Mスポーツ】

「BMW 4シリーズグランクーペ」をベースに、完全電気自動車化したモデルが「i4」である。

BEVでも駆け抜ける歓び

この「New!Car試乗記」でも驚くほど、電気自動車の紹介が多く、それほど今の世の中、電気自動車が話題になっているというのは間違いないだろう。BMWはVol.13で「iX3」を紹介した。これはその名の通り、SUVの電気自動車だったが、今回ご紹介する「i4」はわかりやすく言えば、「4シリーズグランクーペ」の電気自動車モデルである。もっとわかりやすく言えば、「3シリーズ」を流麗なデザインにしたクルマの電気自動車版…乱暴に説明するとそうなるだろう。電気自動車は航続距離を伸ばそうとすると、バッテリーをたくさん搭載しなければならない…、ということはその分車室空間が大きく取れるクルマが有利になるわけで、今電気自動車でSUVが多く存在しているのもそんな理由もひとつにある。しかし、今回の「i4」は空間としては不利なパッケージングでありながらも、総電力量83.9kWhの大容量バッテリーを搭載しているのに驚かされる。WLTCモードの航続可能距離は604kmと公表されている。その代わり、車両重量は2tを超える。

クーペ風の流麗なデザインが特徴的。デザインだけではなく、大きく開くハッチゲートで使い勝手の良さも魅力である。

最高出力は340馬力、最大トルクは430Nmを発揮する電気モーターで後輪を駆動する。乗り始めれば、これは正にBMWであるという印象で、特に試乗した「Mスポーツ」は乗り味が硬めで、いかにもBMWらしい乗り味である。ただ、3シリーズの初期モデルに比べれば、スポーティな中にもコンフォート性能も持たせた乗り味といえるだろう。また、車両重量が重たいこともあって、重厚感を感じさせるのが電気自動車らしい部分でもある。

ルーフラインが後ろ下がりのため、後席の居住空間(特に頭上)が心配だったが、問題なく後席に座ることができた。

SPORTモードにして加速をしてみると、独特の音が車内に聞こえる。これは、内燃機関とはまた違う、新しい音の演出がなされている。どんな音かは試乗インプレッションの4:00頃の動画をご覧いただきたい。電気モーターではなかなか個性を出しにくいが、こういった演出で個性を出しているのだろう。

さらに先進感を増したインテリア、メーター周り。

とにかくパワーにはゆとりが十分で、あっという間に所定の速度に届いてしまう。そして、次に驚かされたのは音の静かさである。前輪が245、後輪が255という太いタイヤを履いているにもかかわらず、ロードノイズもよく抑えられている。電気自動車は元来静かなため、他の音が気になるというデメリットが起こりがちだが、「i4」は非常に静かである。

ボンネットを開けてもご覧の通り。

Dレンジから左側に倒すとBレンジに入り、強い回生ブレーキがかかるようになる。なお、Dレンジにおいても回生力を好みで変えられるシステムも組み込まれている。設定はセンターディスプレイで好みに変えることができる。

シフトやiDriveの操作系は3シリーズなどと共通する部分が多い。

ステアリングは軽くて、昔のBMWを知っている人間からすると驚くほど軽くなっている。スポーツモードを選べば、多少は重くなるが、それでも軽い。そして、クイックにノーズの向きを変えるのは、BMWらしい部分で、ハンドリングが気持ちよく感じる要素の一つだろう。

近頃のBMWはステアリングの重さがずいぶん軽くなった。スポーツモードにすれば、多少は重くはなるが、昔の重さを知っている人からすれば、十分軽い。

ただ、やはり「BMW」らしい走りの楽しさというものを味わいたいのならば、スポーツモードを選ぶことで、その期待に応えてくれるのは間違いないだろう。ただ、そこまでしたのならば、欲しいと感じるのは「回生ブレーキセレクター」である。パドルシフトやセレクターでエンジンブレーキの変速をするような形で、何段かで回生ブレーキの強さを選べれば、より運転の楽しさを増すことができるのではないだろうか。

走ってみれば、やっぱりBMWらしく、運転の楽しめる1台(特にスポーツモード時)だった。

Gocar注目3つのポイント

①実際の実用性はどうか

広々とした、また開口部が大きなトランクルームは使い勝手がいい。

もちろん、後席を倒すことができる。

流麗なデザインをしながらも、使い勝手のいい大きなハッチバックでトランクルームは使いやすい。また、後席の頭上空間も詰まることはなく、普通に座れる点は嬉しいところだ。

②SUVではないモデルでのBEV(電気自動車)のメリットは?

走りの楽しさを感じさせるのはさすがBMW。

走りのフィーリングでより自然なのはやはりSUVよりも、このi4の方がメリットが大きい印象があった。全高の高いSUVに比べれば、やはり走りの基本性能の高さではメリットが大きい印象だ。家族でゆったり乗りたいという場合にはやはりSUVがいいだろう。

③BMWらしい走りの楽しさは味わえるのか

やや太すぎるのでは?と思っていたタイヤは実際には大きなパワー・トルクを発揮するので、これくらいの太さが必要なのかもしれない。

電気モーターの特性はどれもよく似たもので、個性を出すには難しいが、このクルマの場合「スポーツ」モードにすることで、BMWらしい走りの楽しさを感じることができた。何とかいろんなアイデアで、BMWの個性を演出しようとしている意図を感じた。

最後に、「i4」で要改善してほしいと感じた点は小回り性能である。最小回転半径は5.9mだ。内燃機関の4シリーズグランクーペは5.7m、3シリーズは5.3mなのである。この5.9mという小回りの利かなささで、乗りにくいと感じる場面がいくつかあった。4輪操舵もBMWは技術として持っているわけで、何とか小回り性能を向上させてほしいと感じた。

左側フロントフェンダーには普通充電が用意される。

右側リヤフェンダーには急速充電ソケットが用意される。

Mスポーツモデルであり、サイドサポートをより利かせた、スポーツシートである。

後席は座面のドア側がやや硬めでくつろぎ感は少ないが、頭上空間や広さは十分にある。

先進運転支援も充実している。

メーター周りのデザインも大きくなり、液晶のサイズも大きくなった。

エアコンの物理スイッチがなく、ディスプレイで操作させるのやややりにくい。

大きなキドニーグリルが特徴だ。

BMWは内燃機関も大切にしつつ、電気自動車も積極的に投入している。

ショールーム一覧はこちら

BMW i4 eDrive40 Mスポーツ主要スペック

<寸法・重量>
全長…4,785mm
全幅…1,850mm
全高…1,455mm
ホイールベース…2,855mm
車両重量…2,080kg

<原動機>
種類…交流同期電動機
定格出力…105kW
最高出力…250kW(340PS)/8,000rpm
最大トルク…430Nm(43.8kgm)/0~5,000rpm

<駆動用バッテリー>
種類…リチウムイオン電池
総電圧…399V
総電力量…83.9kWh
交流電力量消費率(WLTCモード)…157Wh/km

<駆動方式・一充電走行距離>
駆動方式…RWD(後輪駆動)
一充電走行距離(WLTCモード)…604km

Writer

Gocar Gocar

Go!Carチャンネルのキャスター。2015年ホワイトハウス入社。2016年3月からGo!Carチャンネルをお送りしているが、免許取得後すぐ各種試乗インプレッションを行っており、これまでに試乗した車種は700車種を超える。毎週日曜日16:00からは「Go!Carライブ」をGo!Carチャンネルにてお送りしており、視聴者の皆さんとのふれあいを毎週楽しんで放送している。
また、2022年4月より、レディオキューブFM三重(78.9MHz)にて、「Ericar・Gocar Auto Ensemble♪」というラジオ番組のパーソナリティも務めている。

記事をシェアする:

Facebook Twitter