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AUDI ステーションワゴンクーペ
2022.12.09

Vol.20【アウディ RS7 スポーツバック】

Vol.20【アウディ RS7 スポーツバック】

前回の「RS e-tron GT」に引き続き、スラロームテスト、加速テストも行った。全貌は「Go!Carチャンネル」の動画をご覧いただきたい。

今回も前回に引き続き、特別企画としてアウディのハイパフォーマンスモデルの比較試乗をお送りする。前回は「RS e-tron GT」、完全電気自動車を取り上げた。今回は「RS 7 スポーツバック」である。こちらはマイルドハイブリッドを搭載したV8エンジン搭載車である。

最高出力は600馬力超、最大トルクも800Nmほどというパワーとトルクを持ち合わせた2台。しかし、やはり加速のフィーリングは大きく変わる。

前回の「RS e-tron GT」同様に、スラロームや加速テストも行った。ぜひ、動画も併せてご覧いただきたい。

完全電気自動車だった「RS e-tron GT」と比較して、今回の「RS7スポーツバック」はV8エンジンを搭載しているものの、マイルドハイブリッドが採用されていて、「電動化モデル」の一つである。しかし、完全電気とマイルドハイブリッドでは走行のフィーリングは大きく違う。特に0km/hから加速をする際には、ドン!と大きなトルクを発生する電気モーターに比べれば、やはり内燃機関は「吸気→圧縮→爆発→排気」という仕事をしながら、トランスミッションで変速をして…など、行程を経なければいけないので、どうしてもロスタイムが出てしまうのは致し方ない。とはいえ、0-100km/h加速はRS e-tron GTが3.3秒に対して、RS7スポーツバックも3.6秒。人間の感覚したら大きな違いは感じられないかもしれない。

赤と黒のコントラストが特徴的なエクステリア。

大きなパワーを受け止めるブレーキも大きな容量だ。

エンジンにはV型8気筒DOHCインタークーラー付バイターボ(48Vマイルドハイブリッド)が搭載される。シリンダーオンデマンド(気筒休止)や、55~160km/h走行時のアイドルストップも備わる。最高出力:441kW(600PS)/6,000~6,250rpm、最大トルク:800Nm/2,050~4,500rpmを発揮する。

最初乗り始めて、RS e-tron GTと違うと感じたのはアクセルペダルで、RS e-tron GTではオルガン式だったが、RS7スポーツバックでは吊り下げ式が採用されていた。

ホイールは22インチを装着していた。やはり硬めの乗り味ではあるが、不快というほどではない。ただ、大きなギャップを超えたときには気になる部分もゼロではなかった。「アウディドライブセレクト」というモード切替スイッチで特に「ダイナミック」にすれば、路面の状況をかなり伝える。やはり街中を走る際には「コンフォート」モードで乗るのが一番気持ちいい。

22インチのホイールを履く理由は大容量のブレーキを装着したいという理由も大きい。

街中をごく普通に、ジェントルに走れば、普通のラグジュアリーサルーンといった印象で、音も静かである。

インテリアはA7スポーツバックと大きく変わらないが、RS e-tron GTと大きく違って、大きなディスプレイがセンターに上下に2枚配置される。

エアコンの操作も液晶になっているので、視線移動が大きくなってしまう点は気になるポイントだ。

オールホイールステアリング(4輪操舵)が装備されている。低速では逆位相に、高速では同位相にきれるシステムだ。2トンを超えるこの大きな、重たいクルマが俊敏に、軽快に曲がっていくのに驚かされる。

トランスミッションはアウディといえば、デュアルクラッチトランスミッションの「Sトロニック」を採用しているケースが多いが、このクルマは「8速ティプトロニック」が採用されている。トルクコンバーター方式のATであるため、特に発進時などはより滑らかな印象が魅力である。

V型8気筒エンジンを搭載しているが、48Vのマイルドハイブリッドが搭載されており、コースティング状態の時には55~160km/hの間では走行時にもかかわらず、アイドリングストップが働いて、燃料節約に貢献する。さらに、完全停止前にもアイドリングストップが作動する。特に、この作動がドライバーに対してわからないような、滑らかさに感心させられる。ハイパフォーマンスモデルにもかかわらず、しっかりと効率のことを考えているあたりはさすが最新モデルらしい。

全体的に走ってみて、「RS e-tron GT」で感じていた路面に張り付いたようにどっしり走る走行感覚は「RS7スポーツバック」にはやや欠ける。電気自動車のバッテリーの重量、全高の低さなどがそういうテイストにさせているのだろう。

今回は「RS e-tron GT」と「RS7スポーツバック」との対決であるので、筆者はどちらが気に入ったかを言えば、「RS e-tron GT」だった。クルマの出来はどちらも高いレベルで成り立っている。その中で、選んだ理由は「乗り味の良さ」である。重厚感があって、低速でも高速でも気持ちよく乗ることができた点である。ハイパフォーマンスの中でも、よりジェントルに乗れそうなのが「RS e-tron GT」の方であった。

ただ、電気の航続可能距離で500km以上のロングツーリングへ行った際にはまだ、やや不安に覚えるところはゼロではない。インフラの整備がより整ってほしいところである。

アウディはスポーツモデルでも、座面幅がゆったりしているところがとてもうれしい。

スポーティなデザインと実用性を両立させたのがこのクルマの魅力。

流麗なエクステリアデザインも魅力的である。

ショールーム一覧はこちら
Audi RS7 Sportback(アウディ RS7 スポーツバック)

<寸法・重量>
全長…5,010mm
全幅…1,960mm
全高…1,415mm
ホイールベース…2,925mm
車両重量…2,170kg

<エンジン・トランスミッション>
排気量…3,996cc
種類…V型8気筒DOHCインタークーラー付バイターボ
最高出力…441kW(600PS)/6,000~6,250rpm
最大トルク…800Nm(81.6kgm)/2,050~4,500rpm
使用燃料…無鉛プレミアム
トランスミッション…電子制御8速ティプトロニックトランスミッション

<駆動方式・燃費>
駆動方式…quattro(4WD)
燃料消費率(国土交通省審査値)
・WLTCモード…7.6km/L
・市街地モード…5.0km/L
・郊外モード…7.9km/L
・高速道路モード…9.5km/L

Writer

Gocar Gocar

Go!Carチャンネルのキャスター。2015年ホワイトハウス入社。2016年3月からGo!Carチャンネルをお送りしているが、免許取得後すぐ各種試乗インプレッションを行っており、これまでに試乗した車種は700車種を超える。毎週日曜日16:00からは「Go!Carライブ」をGo!Carチャンネルにてお送りしており、視聴者の皆さんとのふれあいを毎週楽しんで放送している。
また、2022年4月より、レディオキューブFM三重(78.9MHz)にて、「Ericar・Gocar Auto Ensemble♪」というラジオ番組のパーソナリティも務めている。

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