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CITROËNHONDA コンパクトカー
2022.04.09

Vol.6 【日仏Cセグメント徹底比較 シトロエン C4 VS ホンダ シビック】

Vol.6 【日仏Cセグメント徹底比較 シトロエン C4 VS ホンダ シビック】

日本のCセグメント「ホンダ シビック」(左)とフランスのCセグメント「シトロエン C4」(右)を今回は徹底比較。同じセグメントでも全高は10cm以上違うのがユニークだ。

ベクトルが全く違う!最新Cセグメントモデルを徹底比較!!

今回はいつもと異なり、特別企画。フランスからやってきた新しいCセグメント「シトロエン C4」。そして、日本の自動車メーカーのCセグメントモデルとはいえ、販売の中心は日本よりも海外である「ホンダ シビック」。そんなCセグメントの新モデルを直接比較してみることにした。

全幅はどちらも1,800mmだ。面白いのは全高。C4は1,530mm、シビックは115mmも低い1,415mmである。

C4の全長は4,375mmだ。

シビックの全長はC4よりも、175mm長い4,550mm。これは一昔前のDセグメントの領域だ。

 

簡単にボディサイズを比較してみると、全長はC4が4,375mm、シビックは175mm長い4,550mm。全幅はどちらも1,800mmだ。面白いのは全高。C4は1,530mm、シビックは115mmも低い1,415mmである。他のCセグメントは1,450~1,480mmあたりが多い中で、明らかにシビックはかなり低い部類、逆にC4はかなり高い部類に入る。しかし、面白いのは横から見たルーフラインはどちらもなだらかに下がっていて、ルーフラインだけ見れば、どちらも似ているのだ。

横から見たルーフラインはどちらもなだらかに下がっていて、ルーフラインだけ見れば、どちらも似ているのがユニークだ。

 

エンジンはどちらも1.5Lだが、シビックはガソリンエンジン、C4はディーゼルエンジンである。シビックには今年ハイブリッドが加わり、C4にはすでにガソリンエンジン、さらに電気自動車も用意されている。トランスミッションはC4が8速AT、シビックはCVTが組み合わされている。なお、シビックに関しては6速マニュアルトランスミッションが用意されているのはクルマ好きには嬉しいポイントかもしれない。

シビックの試乗グレードはベーシックなグレード「LX」だ。ベーシックモデルとはいえ、運転支援システムや快適装備など十分である。

 

それではまずはシビックに試乗しよう。今回シビックに試乗するのは2度目であり、最初に試乗した時に、かなりいい出来で、筆者自身かなり気に入った。ヨーロッパでは強豪がひしめいているCセグメントではあるが、それらに打ち勝てるほどの魅力を兼ね備えたモデルだったからだ。

エンジンは1.5L直列4気筒ターボだ。最高出力は134kW[182PS]/ 6,000rpm、最大トルクは240N・m[24.5kgf・m]/1,700-4,500rpm。

 

1.5LガソリンエンジンとCVTの組み合わせだが、昔のようなCVTの不自然感はなく、ステップATのように走れる印象はいい。そして、低回転から大きなトルクが出るため、運転もしやすいのがいいところだ。とてもいいバランスといえる。

トランスミッションはCVT(無段変速機)が組み合わされる。なお、6速MTも用意される。

 

C4と実際に乗り比べてみると、シビックは“古典的”といえるかもしれない。例えば乗り味。ゴツゴツはしていないが、やや硬めの乗り味だ。全高が1,415mmに抑えられているところ、全体的な印象として“スポーティ”なテイストにしたいという思惑があるのだろう。タイヤに関してはややオーバースペックに感じられるところがあった。いかにも「スポーティ」というテイストに仕上がっているのがシビックである。ステアリングの少し重みをもたせたフィーリングもそう。また、クイックな反応を示すステアリングのギア比もスポーティだ。これは好みによるところが大きいので、実際にご自分で試乗して、試していただきたい。

タイヤは235/40R18。かなり幅が広く、低偏平タイヤである。

シビックはスポーティな雰囲気が強いが、機能性もよく考えられたインテリア。エアコンの吹き出し口の操作性、エアコンの温度調整のわかりやすさなど、地味ながらユーザーの使いやすさに配慮している点が嬉しい。

 

C4と比べて、シビックが強いと思うのはインフォテイメントシステム、コネクティッドシステム系だ。通信をすることにより、様々な情報をキャッチしたりすることができる。

高い位置に設置されているセンターディスプレイでは様々な情報を見ることができる。

 

シートはシトロエンとは全然違う考え方だが、C4もシビックも座面幅は300mm以上あり(筆者は過去、いろいろなクルマのシートの座面幅を計って、300mm以上あるクルマはかなりゆったり乗れる印象を得た)、ゆったり乗れる。シトロエンは明らかに柔らかい座り心地だが、シビックは硬すぎず、柔らかすぎずいいフィーリングである。面でしっかり支えている印象だ。サイドサポートの部分はC4よりはしっかり出ているが、これが窮屈な印象ほどではなく、快適性とスポーティ性を兼ね備えているシートであるのがなかなかいいところだった。
シビックは“古典的”と冒頭に述べたが、これは悪い意味ではなく、誰もが乗っても戸惑うことなく、普通に乗れるクルマであるという意味でもある。

シビックのシート座面幅は305mmあり、かなりゆったり座れるのがいい。また、適度にサイドサポートを利かせてあり、窮屈過ぎない印象もよかった。

 

全体的に出来がいいクルマなので、個人的にはもっと乗り味がマイルドなシビックが欲しいように感じた。もっと細いタイヤで、インチが小さい、快適志向のシビック。そんなモデルを用意すると、年齢層の高い方にも受け入れられるのではないだろうか。

 

それでは、今度はC4に乗り換えてみる。

C4の試乗グレードは「シャイン ブルーHDi」。1.5Lのディーゼルエンジンを搭載している。最高出力は96kW[130PS]/ 3,750rpm、最大トルクは300N・m/1,700rpm。

C4のステアリングはかなり軽いフィーリングである。ロックtoロックはシビックはほぼ2回転、C4は2.7回転くらいだ。

 

最初にシビックから乗り換えて感じるのはステアリングの操舵量が大きいことである(ロックtoロックはシビックはほぼ2回転、C4は2.7回転くらい)。シビックはそれほどクイックなフィーリングだったわけだ。また、ステアリングを回す軽さがC4に乗るとびっくりするぐらい軽い。個人的にもう少し重みがあってもいいのではという印象をもった。

1.5Lのディーゼルエンジンを搭載するC4はちょっとした加速の際もアクセルをわずかに踏み足すだけでグイグイ加速していってくれる。
シビックと大きな違いはやはり乗り味。C4は今回PHC(プログレッシブ・ハイドロ―リック・クッション)が装備されており、また従来のシトロエンらしいソフトな乗り味が特徴だ。わざと荒れた路面を走りたくなるほどである。

運転支援システムはC4もシビックも、近頃当たり前になりつつあるステアリングまでアシストするACCなど充実している。

シビックの運転支援システムの操作スイッチ。わかりやすい操作系である。

C4の運転支援システムの操作スイッチ。従来シトロエンを含めてPSA系の操作スイッチはステアリングコラム裏にあって、慣れていないとわかりにくかったが、今回のC4からステアリングに移設され、わかりやすくなった。

リヤから見ると、より2車の全高の違いが分かる。

 

カーブを曲がったりするときに感じるのは、やはりC4は背が高く、ソフトな乗り味ということもあり、横傾き(ロール)が発生する。ロールが発生すること自体は悪いことではないし、それを安全運転の指標にすることもできるわけだが、地を這ってスムーズに気持ちよく曲がっていきたいと考える方にはシビックに軍配が上がるだろう。これはそのドライバーの好みによるところが大きい。

C4の座面幅も300mmを超える310mmだ。ゆったり座れるが、シビックと明らかに違うのはソフトな座り心地であること。

 

シートはこれも明らかにC4は柔らかい。昔ながらのフランス車らしいテイストである。とにかく快適志向だ。ただ、サイドサポートはおとなしいので、カーブでの体の支えはシビックの方がよかった印象だ。

今回の比較試乗では、各メーカーの考え方、それぞれのお国柄の特徴が見えた。

 

今回のように同じカテゴリーのクルマを乗り比べてみると、同じCセグメントでもメーカーによってベクトルが全然違う方を向いているのが面白い。各メーカーの考え方、それぞれのお国柄の特徴がよく見えた。

ショールーム一覧はこちら
~シトロエン C4 シャイン ブルーHDi~
<寸法・重量>
全長…4,375mm
全幅…1,800mm
全高…1,530mm
ホイールベース…2,665mm
車両重量…1,380kg

<エンジン・トランスミッション>
排気量…1,498cc
種類…ターボチャージャー付直列4気筒DOHC(ディーゼル)
最高出力…96kW(130PS)/3,750rpm
最大トルク…300Nm/1,750rpm
使用燃料…軽油
トランスミッション…8速オートマチック

<駆動方式・燃費>
駆動方式…前輪駆動(FWD)
燃料消費率(国土交通省審査値)
・WLTCモード…22.6km/L
・市街地モード…19.1km/L
・郊外モード…22.4km/L
・高速道路モード…24.7km/L

<サスペンション>
フロント…マクファーソン・ストラット式
リヤ…トーションビーム式


~ホンダ シビック LX~
<寸法・重量>
全長…4,550mm
全幅…1,800mm
全高…1,415mm
ホイールベース…2,735mm
車両重量…1,360kg

<エンジン・トランスミッション>
排気量…1,496cc
種類…水冷直列4気筒横置DOHCターボ
最高出力…134kW(182PS)/6,000rpm
最大トルク…240Nm(24.5kgm)/1,700~4,500rpm
使用燃料…無鉛プレミアムガソリン
トランスミッション…無段変速オートマチック(トルクコンバーター付)

<駆動方式・燃費>
駆動方式…前輪駆動(FWD)
燃料消費率(国土交通省審査値)
・WLTCモード…16.3km/L
・市街地モード…11.7km/L
・郊外モード…17.1km/L
・高速道路モード…18.9km/L

<サスペンション>
フロント…マクファーソン式
リヤ…マルチリンク式

Writer

Gocar Gocar

Go!Carチャンネルのキャスター。2015年ホワイトハウス入社。2016年3月からGo!Carチャンネルをお送りしているが、免許取得後すぐ各種試乗インプレッションを行っており、これまでに試乗した車種は500車種を超える。毎週日曜日16:00からは「Go!Carライブ」をGo!Carチャンネルにてお送りしており、視聴者の皆さんとのふれあいを毎週楽しんで放送している。
また、2022年4月より、レディオキューブFM三重(78.9MHz)にて、毎週土曜日11:00~「Ericar・Gocar Auto Ensemble♪」というラジオ番組のパーソナリティも務めている。

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