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CITROËN セダンステーションワゴンSUV
2023.03.28

Vol.23【シトロエン C5 X】

Vol.23【シトロエン C5 X】

待望のシトロエンのフラッグシップモデルが復活である。

いつの時代も「普通」と違うフラッグシップ

シトロエンはいつの時代も、どこのメーカーとも一味も、二味も違った個性が特徴のメーカーであるのはご存じのとおりだろう。そんなメーカーが作るフラッグシップモデルは過去の歴史をさかのぼってもやっぱりどのモデルも普通ではなく、明らかに「変わった」モデルばかりである。やはり一番印象に残るのは「シトロエン DS」かもしれないが、筆者にとってはやはり「C6」の印象が大きい。デザインもオーソドックスな3BOXセダンなど用意されたことがない(※先代C5はオーソドックスなセダンに見えるが、リヤウィンドウの形状を見れば、やはり普通ではなかった)。

そして、今回久しぶりに登場したシトロエンのフラッグシップを担うモデルが「C5 X」というモデルである。フラッグシップとはいえ、C6のような、Eセグメントではなく、その名の通り、「C5」級のサイズであるから、Dセグメントにあたる。これまた、オーソドックスな3BOXセダンではないのはもちろんのこと、何かのカテゴリーに属することも難しい、不思議なクルマである。

雰囲気は今流行のSUVっぽいが、全高はそこまで高くない。

真横から見ると、またこのデザインも極めて特徴的である。

セダンでもない、ワゴンでもない、SUVでもない、クーペでもない…。なんとも独特の個性を持ち合わせている。

今回試乗したクルマは1.6Lのガソリンターボエンジンを搭載したモデルである。それ以外に、プラグインハイブリッドも用意される。この1.6Lターボエンジンは長い間使われていて、低回転から大きなトルクも発生して、不満のないパワー、トルクを発生する。車両重量も1,520kgという軽さであるのも見どころである。

実際に乗ってみると、やや着座点が高く、SUV的な見晴らし感、乗り降りのしやすさがメリットである。しかし、全高自体は1,500mm以下で収まっており、背高感を感じさせないのもいいところである。

そして、なんといってもC5 Xの魅力は「乗り味」である。最近、シトロエンで採用を広げている「プログレッシブハイドロ―リッククッション(PHC)」と呼ばれる、セカンダリーダンパーを持たせたサスペンションの味付けがシトロエンらしいソフトさと、凹凸のいなし方を特徴としている。さらに、シートにはシトロエンアドバンスドコンフォートシートという、厚いクッション厚のシートが採用されていて、明らかに「ソフト」な座り心地が他のクルマとは大きく違った特徴だ。

シトロエンアドバンスドコンフォートシートの座り心地は絶品。ソフトな印象と、ゆったりしたサイズ感が実に快適である。

乗り味に魅力はあるが、このPHCが完璧かというとそうでもない。まず柔らかい乗り味ということもあるため、減速時のノーズダイブや加速時のノーズスクワットが大きいのが少し気になる。もう少し、この辺りの動きがもう少しゆったりすれば、いいと思うのだが…。

騒音の静かさには驚かされた。まさに、フラッグシップモデルであるというのがここで実感した。アイドリングストップしているか、していないかわからないくらいエンジン音の遮音はかなり抑えられている。

気になった点としては搭載されている8速AT。長らく使われていて、他のシトロエンではこれまで気になったことがないから、個体差なのかもしれないが、変速ショックを感じる場面がある。4速から3速へ入る際に振動を大きく感じる場合がある。増速時にもそれを感じる場合があり、サスペンションの滑らかさでとても魅力的にできているのに、それ以外の部分の振動が気になってしまうというのは少しもったいない印象である。

さらに、リヤウィンドウにリヤワイパーがないため、雨の日に乗った際には結構見にくかったのが気になった。

ATのセレクターはトグル方式である。

高速道路へ入っていくと、インターでの大きなカーブがあるが、ここを走っていく際に、ソフトなサスペンションだとロール(横傾き)が大きくなりがちだが、SUVほど全高が高くないため、それほど大きなロール感を感じない。

運転支援システムもしっかり装備されていて、ACCはもちろん、車線の中央を走るようにステアリングを積極的にアシストする「レーンポジショニングアシスト」も装備されている。

先進運転支援システムの操作スイッチ。

時速100km/hの時のエンジン回転数は1,700回転。燃費にも良さそうな印象である。

燃費は289km走行して、14km/Lであった。これは撮影でエンジンをかけっぱなしにしている状態も多い場合の燃費であり、それを抜いた燃費は151km走行して、15.1km/Lであった。

開口の大きなサンルーフは気持ちがいい。

後席の試乗も行ったが、かなり広くゆったりした空間に好感を持った。頭上空間もデザインほどの窮屈感はなく、ゆったり座れることができたのは良かった。乗り味はもちろん、フロント席に座った印象と同様で、ソフトで気持ちのいい乗り味を提供してくれた。

後席はかなり広くゆったり座れる。

Gocar注目3つのポイント

①シトロエンのフラッグシップらしい独創性はあるか?

C6ほどの個性には欠けるが、先代C5のような個性は感じられた。

②シトロエンらしい乗り味は受け継がれているか?

まさにソフトな気持ちのいい乗り味を体感できた。ただ、ノーズスクワット、ノーズダイブの揺れが少し気になった。

③530万円という価格で「C5 X」は価格の近い、「DS 4 ディーゼル」や「プジョー 308SW PHEV」と比較してどんな人にマッチするのか?

大きいクルマが欲しく、後席のゆとり感、シトロエンらしいふわっとした乗り味を堪能したい方はC5 Xを選ぶのがいいだろう。

「C5」というネーミングはついているが、先代のC5とも、さらに「C5エアクロス」とも全く違うクルマである。

シトロエンの「ダブルシェブロンマーク」が新しくなったが、C5 Xはまだ以前のスタイルである。

木目らしいパネルが装備されているが他のクルマではあまり見たことのないような模様のものである。

センターには大きなディスプレイが用意され、コネクティッドナビゲーションも装備される。様々な設定や機能がある。

旧世代のプジョー・シトロエン系はエアコンの操作をディスプレイでしなければいけなかったが、操作しやすい物理スイッチも併設されるようになった。とてもうれしい改良である。

ドライバー席とパッセンジャー席にはマッサージ機能である「マルチポイントランバーサポート」が装備されていた。快適なシートに、マッサージ。最高である。

シートのステッチはなんと!ダブルシェブロンのマークがデザインされている!なんとオシャレなのだろう。

先進的でありながら、個性的なデザインのインパネ回り。

ラゲッジスペースも特に奥行きが広い。

4人乗った状態で長尺物が載せられるセンタースルーも装備。

6:4分割の後席可倒シートが採用されている。

フラットにはならないが、十分な空間が用意される。

細くて径の大きい特徴的なタイヤ。

サイズは205/55R19である。

エンジンフードはフラッグシップなら、ダンパー支持を望みたいところ…新しいクラウンでさえこの方式になってしまったが…。

ショールーム一覧はこちら

CITROËN C5 X SHINE PACK(シトロエン C5 X シャインパック)主要スペック

<寸法・重量>
全長…4,805mm
全幅…1,865mm
全高…1,490mm
ホイールベース…2,785mm
車両重量…1,520kg

<エンジン・トランスミッション>
排気量…1,598cc
種類…ターボチャージャー付直列4気筒DOHC
最高出力…133kW(180PS)/5,500rpm
最大トルク…250Nm/1,650rpm
使用燃料…プレミアムガソリン
トランスミッション…8速オートマチック

<駆動方式>
駆動方式…前輪駆動(FWD)

Writer

Gocar Gocar

Go!Carチャンネルのキャスター。2015年ホワイトハウス入社。2016年3月からGo!Carチャンネルをお送りしているが、免許取得後すぐ各種試乗インプレッションを行っており、これまでに試乗した車種は700車種を超える。毎週日曜日16:00からは「Go!Carライブ」をGo!Carチャンネルにてお送りしており、視聴者の皆さんとのふれあいを毎週楽しんで放送している。
また、2022年4月より、レディオキューブFM三重(78.9MHz)にて、「Ericar・Gocar Auto Ensemble♪」というラジオ番組のパーソナリティも務めている。

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